75年間、本校を支えてきた家政科が、令和4年3月をもって幕を閉じることになりました。そこで、家政科の輝かしい功績を称えるとともに、感謝を込めて、関係者の挨拶や家政科の活動の写真を掲載しました。
家政科に感謝を込めて
つくば国際大学高等学校長 横島義昭
本校は、今年度で創立75年となります。創立とともに開設されたのが「家政科」です。学校創立とともに75年間に渡って本校を支えてきた家政科が、令和4年3月1日の家政科生徒の卒業をもって、75年の歴史の幕を閉じることになりました。
家政科は、開設以来、良妻賢母の育成から始まり、その後、生活産業を支える人材育成へと役割を変えながら、様々な形で社会に大きな貢献をしてきました。この間、家政科を卒業した生徒は、2,603人です。卒業生の皆さんは、県内外で有為な人材として活躍しています。本校にとって家政科の功績は多大なものがあります。家政科に関わった全ての生徒、教職員など関係の皆様に対して、学校を代表して心から感謝の意を表します。ありがとうございました。
これまでに受け継がれてきた家政科の灯は、今後、形は変わりますが、アドバンススクールの生活デザインエリアにバトンタッチされ、輝き続けるものと確信しています。
この度、家政科関係者のご尽力により、本ホームページに家政科を偲び感謝する「家政科追想」のコーナーを作りました。温かい心持ちでご覧いただきたいと思います。
(3-K 長岡 真央 作)
家政科に感謝を込めてつくば国際大学高等学校長 横島義昭
家政科とともに
元本校家庭科教諭(昭和52年~令和4年)湯原 幸子
本校家政科では、学校で行う授業だけではなく、体験的授業を通して興味・関心を持たせる工夫をしてきました。つくば国際大学・短期大学での体験授業や各分野のスペシャリストを招いての授業、企業訪問しての体験授業など、多感な青年期にある生徒たちに新鮮な学ぶ場を提供し、生涯を通して記憶に残るような授業をすることを目指し、取り組んできました。これらのことは、学校では学ぶことのできない貴重な体験と同時に、生徒同士が協力する互譲の精神を学ぶことや円滑な人間関係を創り上げようとする心情を育てることができたのではないかと思います。
また、これらのことを通して、実生活の様々な工夫に繋がったり、学んだ情報を分析、整理して一つの方向性を見出したり、自分の生活の中にどのように取り入れるか工夫したりと、生活の中から学び、生活を創り上げる力を育てることを目標に指導して参りました。
各種クッキングコンテストにも積極的に参加し、47都道府県代表が集まる全国大会でも茨城県代表として参加し、4回の全国優勝を果たしました。こういった活躍が地域の方々にもTV、新聞で知られることとなり、土浦市の様々なイベントにも参加要請があり、カレーフェスティバルや霞ヶ浦マラソンにも参加しました。また、地元企業とのコラボレーションで「つく国乙女のレンコンボールクッキー」を商品化しました。
高校所在地である土浦市は今、「食」に対してどのようなニーズや課題を抱えているのか、あるいは地域が抱えている問題に高校生ならではの斬新なアイデアで貢献することができないかなど、「地域を笑顔で元気にする」という活動もしてきました。
「乙女のフルーツココカレー」が土浦市より認定を受けたことで、PTAから料理講習の依頼があり、食育講習会として保護者に家政科の生徒たちが教えました。このことは、食事を通して親子の心の繋がりを深めることになったと思います。
また、毎年開催されていた茨城県産業教育フェアでは、被服の授業で製作したドレスを発表・展示したり、手作り小物を販売したりと活躍しました。
近年、核家族化が急速に進んだことにより、「衣・食・住」に関する知恵やしつけが伝わりにくくなってしまいました。家政科の生徒たちは授業や体験を通して多くのことを学び、これから歩む人生に大きな力を与えられたと思います。
これまで家政科を支えてくださった保護者の皆様、温かく接してくださった地域の皆様、ご指導してくださった諸先生方に深く感謝申し上げます。
家政科で学んだこと
令和3年度 第70回 家政科卒業生 東 朱音
高校進学に家政科を選択したのは、自分が小学生の頃から希望していた職業に少しでも近付ければということと、苦手を得意にしていきたいという気持ちからでした。高校生活という新たな世界に嬉しさ半分、不安と緊張が半分だったのを思い出します。 授業が進む中で楽しかったこと、難しくて悩んでしまったこと、時にはクラスメートや母親に相談しながら3年間の授業を終え、今思い返すと短いながらも充実した学校生活だったと思います。
初めはミシンの正しい使い方も分からず、随分時間がかかったものですが、検定試験の練習や課題研究に取り組む中で型紙の使い方やアレンジの仕方を覚え、最後の製作では自分だけでデザインから生地選び、そして縫製まで全ての工程をやり遂げることが出来ました。 調理の授業では包丁使いに自信がなく、検定試験の本番まで何度も家に帰ってから練習し本番に臨みました。実習では日本の郷土料理や世界各国の料理など、普段食べたことがないような料理に挑戦し、初めて食べたものもありました。その中で食の好き嫌いを克服できたことは、自分だけでなく母にとっても驚きだったそうです。最後の調理実習では皆で沢山の料理を作り、校長先生や関係の先生方が私達の作ったものを食べに来て下さり、「とても美味しい」との言葉をいただき、とても嬉しく感じました。 学校生活の中で、コロナ禍により色々な行事が縮小されたり、修学旅行が中止になったりしてとても残念でしたが、家政科で一生懸命に取り組んだことは自分の中の基本としてこれからの人生において発展させていけたらと思います。
私たちの学年で家政科が終了してしまうことは入学後に知りましたが、最後の生徒であるということに寂しさを感じると同時に、責任と意味も考えました。未熟な私は卒業してから実感するのだと思います。でも、この3年間で学んだことを無駄にしないように、次のステップに進み、学んでいきたいと思います。 3年間本当にありがとうございました。
令和3年度 第70回 家政科卒業生
東 朱音
高校クッキング選手権作品
全国大会・茨城県大会優勝・準優勝トロフィー
「NORAGI CONTEST」デザイン賞受賞
文化祭ファッションショー作品(令和3年度)
文化祭ファッションショー作品(過去)
茨城県産業教育フェアファッションショー
茨城県県庁県政コーナー「家庭に関する学科で学んでいる高校生の作品展」
授業作品「季節のフェルト絵本」
乙女のフルーツ・ココカレー
乙女のフルーツ・ココカレーが先輩からひきつがれる様子
レンコンボールクッキー
家政科に関わってくださった全ての方々、ありがとうございました。