家政科とともに
元本校家庭科教諭(昭和52年~令和4年)湯原 幸子
本校家政科では、学校で行う授業だけではなく、体験的授業を通して興味・関心を持たせる工夫をしてきました。つくば国際大学・短期大学での体験授業や各分野のスペシャリストを招いての授業、企業訪問しての体験授業など、多感な青年期にある生徒たちに新鮮な学ぶ場を提供し、生涯を通して記憶に残るような授業をすることを目指し、取り組んできました。これらのことは、学校では学ぶことのできない貴重な体験と同時に、生徒同士が協力する互譲の精神を学ぶことや円滑な人間関係を創り上げようとする心情を育てることができたのではないかと思います。
また、これらのことを通して、実生活の様々な工夫に繋がったり、学んだ情報を分析、整理して一つの方向性を見出したり、自分の生活の中にどのように取り入れるか工夫したりと、生活の中から学び、生活を創り上げる力を育てることを目標に指導して参りました。
各種クッキングコンテストにも積極的に参加し、47都道府県代表が集まる全国大会でも茨城県代表として参加し、4回の全国優勝を果たしました。こういった活躍が地域の方々にもTV、新聞で知られることとなり、土浦市の様々なイベントにも参加要請があり、カレーフェスティバルや霞ヶ浦マラソンにも参加しました。また、地元企業とのコラボレーションで「つく国乙女のレンコンボールクッキー」を商品化しました。
高校所在地である土浦市は今、「食」に対してどのようなニーズや課題を抱えているのか、あるいは地域が抱えている問題に高校生ならではの斬新なアイデアで貢献することができないかなど、「地域を笑顔で元気にする」という活動もしてきました。
「乙女のフルーツココカレー」が土浦市より認定を受けたことで、PTAから料理講習の依頼があり、食育講習会として保護者に家政科の生徒たちが教えました。このことは、食事を通して親子の心の繋がりを深めることになったと思います。
また、毎年開催されていた茨城県産業教育フェアでは、被服の授業で製作したドレスを発表・展示したり、手作り小物を販売したりと活躍しました。
近年、核家族化が急速に進んだことにより、「衣・食・住」に関する知恵やしつけが伝わりにくくなってしまいました。家政科の生徒たちは授業や体験を通して多くのことを学び、これから歩む人生に大きな力を与えられたと思います。
これまで家政科を支えてくださった保護者の皆様、温かく接してくださった地域の皆様、ご指導してくださった諸先生方に深く感謝申し上げます。